外科と代謝・栄養
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臨床経験
高齢者胃癌手術におけるESSENSEの理念に基づいた周術期管理の検討
三松 謙司斎野 容子吹野 信忠
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2022 年 56 巻 1 号 p. 41-49

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抄録

【目的】高齢者胃癌手術におけるESSENSEの理念に基づいた周術期管理の安全性と有用性について検討した.
【方法】75歳以上の胃癌開腹胃切徐症例を, 従来の周術期管理 (C群) とESSENSEを取り入れた管理 (E群) に分類し, 後方視的に比較検討した.
【結果】患者背景は手術時間以外に有意差を認めなかった. 胃管抜去, ドレーン抜去, 食事開始はE群で有意に早かった.合併症は両群間で有意差を認めなかったが, E群で腸閉塞を2例に認めた. 食事エネルギー摂取量はE群で有意に多く, 術後身体活動はE群で早く回復し, 退院1カ月後の体重減少率はE群で3.3%低かった. 退院許可日はE群で早かったが, 術後在院日数は有意差を認めなかった. 再入院はC群で2例認めたが, E群では認めなかった.
【結論】高齢者胃癌開腹手術におけるESSENSEの理念に基づいた周術期管理は,再入院を増加させなかったが,腸閉塞には注意が必要と考えられた.

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© 2022 日本外科代謝栄養学会
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