外科と代謝・栄養
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原著(臨床研究)
NST介入時における栄養状態の判定に影響する要因の検討
森 ひろみ佐藤 弘永田 早紀上村 聡佐藤 雅子高木 敏之間野 政行鈴木 海馬古田島  太
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2022 年 56 巻 2 号 p. 90-97

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抄録

 栄養アセスメントは複数の指標を組み合わせ多角的に行うこととされているが, 栄養状態の判定には明確な基準がない. 当院NSTの回診時に栄養状態の判定において改善か不変かで意見が二分することがある. 判定に有意に影響する要因を検討した.
 2019年4~6月に2回以上回診を実施し介入終了となった患者98名を介入時と終了時の栄養状態の判定の推移から改善・不変・悪化の3群に分け, そのうちの改善群と不変群91名のSGA5項目 (BMI, 褥瘡, 浮腫, 消化器症状, PS) , ODA2項目 (CONUT値,栄養充足率), 栄養ルートについて介入時と終了時の状態を比較した.
 介入時は全項目で有意差はなかったが, 終了時は改善群で消化器症状, PS, CONUT値, 充足率に有意差を認め, 栄養ルートは輸液から経口管理への有意な推移を認めた. ただし, 改善群の平均CONUT値5.04は中等度不良に該当し, 栄養状態の判定と合致しなかった. 改善か不変かの判定は, 患者の自立性に影響されることが多く, 客観的指標が過小評価される傾向を認めた.

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