外科と代謝・栄養
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ESSENSE ミニシンポジウム
本邦外科手術における周術期管理の現状について
海堀 昌樹
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2023 年 57 巻 3 号 p. 70-

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抄録

目的・意義:多機関共同前向き観察研究による各種外科手術における術後鎮痛方法および􄻏痛評価、ならびに術後経過 との関連性を検討する。術後早期回復の本幹である「生体侵襲反応の軽減」は未だインセンティブが未設定である。生 体侵襲反応の軽減対策としての重要な手段の一つであるのは術後鎮痛である。しかし、鎮痛の指標も含め、他の栄養や リハビリテーションとの関連で、術後鎮痛に関してはいまだ十分に取り組めていないのが現状である。今回、日本外科 代謝栄養学会周術期管理委員会では術後早期回復へ向けてのESsential Strategy for Early Normalization after Surgery with patient’s Excellent satisfaction(ESSENSE)プロジェクトの取り組みとして、多機関共同前向き観察研究による各 種外科手術における術後鎮痛方法および􄻏痛評価を行う。この術後􄻏痛の程度と術後経過との関連性を検討し、術後早 期回復のための鎮痛の意義を明らかにしたい。方法:消化器外科手術、呼吸器外科手術、心臓外科手術の対象患者とし、 多機関共同前向き観察研究として行う。消化器外科手術は、食道切除、胃全摘および胃切除、結腸および直腸切除、肝 切除、膵頭十二指腸切除を対象とする。呼吸器外科手術は胸腔鏡手術(video-assisted thoracic surgery)の患者限定とし た。心臓外科手術は心臓胸部大血管開胸手術(弁膜症、虚血性心疾患、胸部大動脈手術、先天性など)、腹部大血管開腹 手術(大動脈瘤、閉塞性動脈硬化症など)の患者を対象とした。主要評価項目は術後1、2、3、7 日目、退院時での􄻏痛 評価ならびに術後経過との関連性の検討。副次評価項目としては1)術前、術後1、2、3、7 日目、退院時での食事摂取 割合、離床程度、総リンパ球数、好中球数、血清Albumin、血清CRP、2)術後7 日目のQOR15、3)術後合併症有無、 4)術後入院期間とした。結果:現在各施設調査中であり、発表時には解析結果を報告する。

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© 2023 日本外科代謝栄養学会
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