外科と代謝・栄養
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特集 「未来医療を科学する」
“人工膵臓”の外科・代謝栄養学への応用の可能性
巽 博臣
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2023 年 57 巻 4 号 p. 108-112

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抄録

 術後や敗血症など, 侵襲後の重症患者では異化亢進により高血糖となり, 血糖コントロールに難渋することも少なくない. 血糖値を抑えると同時に, 日内変動を抑えることも予後に影響する. 人工膵臓STG®‐55は, 連続的な採血によって血糖値を測定し, アルゴリズムに基づいてインスリンやグルコースを自動的に注入して, 血糖値を安定化させる装置である. インスリンで血糖値を下げるだけでなく, 必要時にはグルコースを投与して低血糖を回避できる安全機構を備えている. したがって, 手動での血糖コントロールのように, “下がりきらない”, “下がりすぎる”という事象は生じない. STG®‐55により, 厳格血糖管理をより安全に行えることから, 周術期など重症患者の治療成績の改善に寄与できる可能性がある. 人工膵臓STG®‐55の外科・代謝栄養学への応用の可能性・有用性について述べる.

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© 2023 日本外科代謝栄養学会
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