外科と代謝・栄養
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特集 「未来医療を科学する」
“腸瘻液注入”の応用の可能性
千葉 史子増本 幸二
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2023 年 57 巻 4 号 p. 113-117

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抄録

 小腸瘻患者に対し栄養素吸収効率の増加,肛門側腸管の廃用性萎縮の防止,肝機能障害の回避などの点から,腸瘻口側腸管排液を回収し肛門側腸管へ注入する管理の有用性がいわれており,施行する施設は増加してきている.しかしこれまで施行されてきた方法では手間がかかることが多い.われわれは,腸瘻口側腸管排液を肛門側腸管に自動的に持続注入するシステムを考案し,乳児から年長児まで幅広く使用しており,本システムの実際と有用性について紹介する. 本システムの概要は以下である. ストーマパウチからチューブを通してボトルに腸液を回収し, 肛門側腸管にはバルーンカテーテルなどを挿入しておく. ボトルの下部にチューブを接続し注入用ポンプを使用して肛門側腸管に腸瘻口側腸管排液の自動注入を行う, 高位空腸の場合には三方活栓を用いて栄養剤の同時注入も可能である. この方法では管理が簡便かつ安定した持続注入が可能で, 腸瘻排液の注入管理において非常に有用であると考えている.

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© 2023 日本外科代謝栄養学会
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