2025 年 59 巻 4 号 p. 75-79
消化器癌治療中の体重減少や骨格筋量減少などの体組成変化は, 短期および長期の腫瘍学的転帰に強く影響することが報告されている. 短期の腫瘍学的影響は, 術後合併症の増加, 術後補助療法の治療継続性の低下や補助療法の有害事象の増加などが報告されている. 長期の腫瘍学的影響としては, 生存率の低下や治療後のquality of lifeの低下などが報告されている. このため, 消化器癌の治療前後での体組成変化を抑制できれば, 腫瘍学的転帰を改善できる可能性がある. 消化器癌治療中の体組成変化を抑制するために, oral nutritional supplements (ONS) を用いた栄養療法が導入されている. ONSを用いた栄養療法は, 現在までにさまざまなアプローチが試みられているが, その効果が明らかになりつつある. 消化器癌治療中の患者では, ONSにより栄養維持・体組成変化への対応・治療に伴う有害事象や後遺症の軽減などのさまざまな効果が期待できる. 一方で, ONSの至適な投与量, 投与期間, 投与時期などはまだ十分には明らかになっていない. そこで, 本稿ではONSの概要, これまでの導入の経緯, 現状と課題, そして今後の展望について述べる.