各種癌治療において筋肉量の低下がアウトカムに悪影響を与えるため, 筋肉量評価に対する関心が高まっている. またGLIM低栄養診断基準では, 表現型基準の一つに「筋肉量低下」が位置づけられている. しかし, 筋肉量低下の具体的カットオフ値は規定されておらず, 臨床現場では測定法や閾値の不統一が課題である. 本研究では, 胃癌手術例を対象に, 術前CTから得られた骨格筋指数 (SMI) および大腰筋指数 (PMI) と予後との関連を解析し, 年齢・病期を考慮した最適層別化法により男女別カットオフ値を同定した. 対象は2011~2016年に術前治療なく胃切除を受けた患者で, 3,797例を解析対象とし, 80%をトレーニングセット, 20%を独立バリデーションセットとして分割し, トレーニングセットから最適層別化法によりカットオフ値 (男性ではSMI 40 cm2/m2, PMI 3.7 cm2/m2, 女性ではSMI 31 cm2/m2, PMI 2.9 cm2/m2) が同定された. カットオフ値が欧米報告よりやや低く, 筋肉量の予後への影響に男女差があることを確認した. 筋肉量減少を, カットオフ値を用いてリアルタイムに診断し適切な介入を行うことで, 治療成績の向上につながる可能性がある.