サルコイドーシス/肉芽腫性疾患
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常在菌の働き, 役割
光岡 知足
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2002 年 22 巻 1 号 p. 3-12

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抄録

皮膚, 上気道, 口腔, 咽頭, 胃, 腸管, 膣, 尿道などには, それぞれ部位によって特徴的な常在細菌がすみつき, 常在菌叢を構成している. 常在菌叢と宿主との問, および, 常在菌叢を構成する菌種問には平衡関係が成立しているが, 何らかの原因でこの平衡関係が破れると, 潜在的に病原性をもっている菌が敗血症, 肺炎, 肺膿瘍, 肺壊疽, 腹膜炎, 胆嚢炎, 胆管炎, 肝膿瘍, 下痢, 腸炎, 口内炎, 扁桃炎, 脳膿瘍, 髄膜炎, 腎孟炎, 膀胱炎, 膣炎, 産褥熱, 心内膜炎, 中耳炎, 結膜炎, 軟部組織膿瘍など, いわゆる“日和見感染”を惹き起こす. 平衡関係の乱れは, 抗生物質やステロイドホルモンの投与, 外科手術, ストレス, 糖尿病, 過労・老齢などが原因となる. また, 腸内菌叢は, 多岐にわたる代謝を行う酵素をもち, その結果, 宿主の栄養, 薬効, 生理機能, 老化, 発癌, 免疫, 感染などに大きな影響を及ぼしている.

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© 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会
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