抄録
29歳男性. 2001年5月検診にて胸部異常陰影を指摘され, 微熱を主訴に当科入院となった. 血清ACE39.7IU/lと上昇し, ブドウ膜炎を認めた. また, 胸部X線写真上, 両側肺門リンパ節腫脹と両肺野にびまん性に斑状影が認められ, 経気管支肺生検 (TBLB) にて類上皮細胞肉芽腫が確認されたことより, サルコイドーシス (サ症) と診断した. 経過観察中, 肺病変は次第に消褪傾向を示したが, 2002年11月蛋白尿の出現と血清クレアチニン値の漸増が認められたため腎生検にて精査を行った. 腎組織は, 間質に広範にLanghans巨細胞を伴った類上皮細胞肉芽腫と尿細管の萎縮及び線維化を認め, 肉芽腫性問質性腎炎の像を呈していた. ステロイド治療を行い, 血清クレアチニン値は改善したが, 正常化までには至らず, 腎機能障害が残存した. サ症による肉芽腫性間質性腎炎は, 早期に治療しないと腎不全に至ることもあるため注意が必要と考えられた.