土壌の物理性
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Print ISSN : 0387-6012
湿潤地帯の土地利用型作物に対する灌水技術の課題
竹内 晴信
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2005 年 100 巻 p. 55-64

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抄録

畑地灌漑施設の整備が進展し,露地作物への水利用場面が増えている。中でも検討が不十分と思われた土地利用型作物に対する灌水技術について,これまでの研究事例を概観し今後の技術開発に向けた課題を整理した。北海道では潜在的に水不足が生育を規制するが,大規模畑作での灌水利用は少なく増収効果も10%前後である。現場で必要な灌水技術として,灌水時期,灌水開始点,1回あたり灌水量,灌水に伴う問題の回避が挙げられる。特に収量品質を高めるためには,生育時期毎の灌水の必要性明示と灌水開始点の可変設定が必要である。灌水開始判断のためには作物水分ストレスや土壌水分ポテンシャルを現場で迅速かつ簡便に測定評価し得るの手法の開発が必要である。また,根域を拡大し,毛管補給を含めた土壌の水分供給力を総合的に評価することで,灌水量や灌水労力の低減を図ることが重要であ る。

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© 2005 土壌物理学会
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