抄録
北海道の2種の粘土質ローム土である北大と美瑛を用い,雨滴の衝撃がクラスト形成過程に与える影響を室内実験により明らかにした。処理区として風乾(AD),湿潤(WET),大団粒(PS)および高乾燥密度(BD)を用意した。降雨強度がGSmrnh-1の降雨装置により,高さ 170 cmより雨滴を1時間与えた。最終の浸入速度は, PS > AD > WET > BDの順であり,雨滴ヱネルギーの影響は団粒径の小さなADとWETが団粒径の大きなPSに比べて大きかった。クラスト形成による透水係数の低下は大きい順に北大では WET > PS > AD > BD の順であり,湿潤試料よりも乾燥試料の団粒が安定であった。一方,美瑛では透水係数の低下は大きい順に AD > PS > WET > BD の順であった。美瑛では乾燥することにより透水係数が大きく低下し,浸入量も北大よりも小さかった。