抄録
土壌の熱的性質を知ることは様々な分野において重要である。例えば,農業の分野では種子の発芽や作物の生長あるいは硝化作用は,熱的性質の影響を受ける土壌温度に依存する。従来,土壌の熱的性質は単一あるいは双子型のプローブで測定するのが一般的であるが,特殊なプローブが必要である。一方,土壌コアの中心部の温度変化を測定することでも土壌の熱的性質を推定するためのデータを提供できる。しかし,この方法ではこれまで数値計算が要求されていた。そこで本報では,土壌コアで収集した温度変化のデータを解析解から得られた係数に当てはめることによって土壌の熱拡散係数を推定する方法を提案した。黒ボク土を様々な土壌水分に調整して測定した熱拡散係数は,従来のプローブを使った方法から得た値と良く 一致した。従って,ここで提案した測定法は従来法の代替となると思われる。