土壌中における汚染物質などの溶質移動を把握するためには,溶質の拡散係数などを知る必要がある。 1990 年代に土壌表面から鉛直に挿入したTDR (time domain reflectometry)プローブを使った方法が開発され,ディラックのデルタ関数入力の溶質に対して非破壊的に溶質の移動特性を推定することができるようになった。本報では,最終処分場の遮水膜が損傷した場合に相当するステップ関数入力の溶質に対する解析法を提案した。豊浦砂を充填したカラムを用いた実験により,TDRと排出溶液により推定した遅延係数Rと拡散係数Dを比較した。Rの値は,デルタ関数とステップ関数入力に対して,TDRと流出水による推定値が良く一致した。Dの値については,ステップ関数入力に対して両推定法からの値は良く一致した。従って,本報で提案したステップ関数入力に対するTDRを使った解析は有効であると考えられる。