土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
Print ISSN : 0387-6012
面源流域からの窒素流亡とその対策
鵜木 啓二
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2006 年 102 巻 p. 39-45

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抄録

近年,北海道の畑作,畜産,酪農地帯では,家畜糞尿や化学肥料が施用された圃場湎源)からの汚濁物質流出が問題となっている。本稿では,面源からの窒素流亡の事例として北海道東部の草地酪農流域において水質環境調査を実施し,降雨の多い年は草地への窒素投入量の 33 %が非積雪期に流出していることを明らかにした。また,面源からの汚濁負荷流出の対策エである河畔緩衝帯の構造と機能について紹介した。さらに,河畔緩衝帯の水質浄化機能を定量化するために,草地酪農流域において草地に隣接した林地地下水の水質•水文調査を実施し,草地からの表面水(全窒素平均濃度 7.8 mg L-1)が林地土壌を約 30 m浸透•流下する過程で,濃度をほぼ一定値( 2 mgL-1)まで低下させることを示した。

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© 2006 土壌物理学会
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