土壌中の窒素無機化•有機化,硝化等の窒素形態変化に関与する微生物作用が土壌タイプや有機質資材の施用によってどの様な影響を受けるかを明らかにするために,15 Nをトレーサーとして用いた土壌室内培養実験,圃場枠試験等を行った。4種の異なるタイプの畑土壌に対して,(15NH4)2SO4単独,或いは牛糞堆肥,乾燥豚糞,麦わら等の有機質資材と(15NH4)2SO4を同時に施用して15Nの形態変化と行方を追跡した。
1) 土壌タイプにより施肥窒素の硝化•有機化速度は大きく異なったが,土壌による一定期間後の窒素有機化量は土壌の硝化と有機化の速度から推定可能であった。
2) 有機質資材のうち,乾燥豚糞や麦わら等の施用下では窒素有樹匕が促進され,作物の窒素吸収が抑制される一方,N03-の溶脱量の減少にも寄与していることを明らかにした。
3) 肥効率を勘案した化学肥料•有機質資材併用施肥においては,化学肥料単用区と肥効を同等に合わせても有機質資材の種類により窒素溶脱のリスクが大きく異なることが示された。
4) 有機質資材長期連用圃場では,単に有機物量,窒素含量等が量的に増加するだけではなく,土壌全窒素含量当たりのバイオマス窒素量や窒素無機化量の比率も有機物施用量に伴って増加していた。
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