抄録
近年,化学肥料の施肥の増加により,河川および地下水の硝酸汚染が進行している.農耕地中の硝酸の動態を把握するためには,土壌深度毎の吸着等温線(AI)の情報を得る必要がある.しかし,土壌型に依存する AI のパラメータリストは,まだ整備されていない状況にあるため,パラメータリストを早急に整備する必要がある.著者らは,アンモニウムイオンと硝酸イオンのパラメータリストを整備することを目的に,手始めに黒ボク土(畑地),黒ボク土(水田)および灰色低地土(水田)の土壌の吸着等温実験を行った.その結果,黒ボク土(畑地)の深度 30 cm を除くすべての試料において Langmuir 型のAI を得た.本研究では,深度 10∼100 cm における AI パラメータを算出し,シミュレーションプログラムの入力に必要な,アンモニウムイオンおよび硝酸イオンの吸着特性を比較できた.