土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
Print ISSN : 0387-6012
降雨強度と雨水の水質が土壌浸透流出水の水質へ及ぼす影響
森澤 太平森 也寸志井手 淳一郎宗村 広昭武田 育郎井上 光弘
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2010 年 114 巻 p. 3-10

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抄録

流域調査において,豪雨後に土壌浸透水の溶質濃度が高くなる現象が捉えられたが,その要因については精査できなかった.本研究では降雨条件に着目し,土壌充填カラムに人工雨水と人工酸性雨水を 2,4,20,80 mm h r −1 の降雨強度でそれぞれ 320 mm ずつ降らせ,下方から流出した土壌浸透水(流出水)中の DOC,TN,NO−3 ,Cl−,SO2−4 ,Na+,K+,NH+4 ,Mg2+,Ca2+ 濃度を分析した.その結果,80 mm hr−1 の降雨強度では溶質濃度が高くなり,溶質の流出量が大きくなった.この濃度は雨水より高く,物理プロセスであるリーチングが優勢であると考えられた.人工酸性雨水では 80 mm hr−1 の降雨強度で溶質の流出が大きくなり,降雨強度に酸性物質が加わることでさらなる流出が観察された.

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© 2010 土壌物理学会
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