抄録
世界の農場に設置された土壌センサーのデータを GIS 上でリアルタイムに一覧できると,農地管理者や作物 · 土壌系の研究者にとって,大変便利である.開発したセンサーサービスグリッド(SSG)はこれを実現するセンサーアジア構想の中核のシステムである.SSG ではセンサーの登録,補正式やその他のセンサーメタデータの管理,可視化などに関するセンサープラグ&プレイが実現されており,容易に土壌センサーデータをリアルタイムに収集し,管理することができる.この SSG の有効性を検証するために,タイ王国チェンマイのホウレンソウ草畑に圃場モニタリング装置を設置し,現地の気象条件と一緒に畑土壌の水分 · 温度 · 電気伝導度をリアルタイムで測定できるようにした.実証実験の結果,開発した SSG により,測定データがインターネット経由でデータサーバに蓄積され,誰もが簡単にデータ閲覧できることが確認された.現在,このシステムは,タイの農作物生産者と日本の消費者で食の安全を確保する1つのツールとして実際に利用されており,携帯電話で現地の情報を確認できる.SSG は土壌センサーの応用開発研究を促進させる上できわめて有用である.