土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
Print ISSN : 0387-6012
播種時の過湿 · 過乾燥リスクを伴う粘土質転換畑におけるダイズの適切な播種条件の解析
吉田 修一郎細川 寿足立 一日出
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2013 年 125 巻 p. 17-27

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抄録

粘質土壌の低い砕土性を考慮しつつ,ダイズの安定的な出芽 · 苗立ちのための適切な播種条件を明らかにすることを目的として,ほ場における要因試験を行った.4 つの要因,すなわち播種深度,耕うん後の播種日,播種後の鎮圧の有無 · 強度,砕土率が,播種後の種子水分,発芽率,出芽率,苗立ち率に及ぼす影響を解析した.重粘土転換畑におけるダイズの出芽 · 苗立ちに対しては,1)播種深度および耕うんから播種までの期間が,影響の強い要因であり,耕うん後の速やかな播種が重要であること,2)播種深度は,無降雨が続く場合には深い方が有利であるが,すぐに降雨がある場合には浅い方が出芽後の生育は良好であること,3)鎮圧は,十分な土壌水分のもとでは発芽の促進に相補的に働き,また,強度の違いはほとんど影響を及ぼさないこと,4)不十分な砕土条件下においては,播種深度を揃えた場合,砕土率に差があっても(全層平均の砕土率 37 % ∼ 62 % ),ダイズの出芽 · 苗立ちに有意な違いが生じないこと,が明らかになった.

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© 2013 土壌物理学会
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