土壌の物理性
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Print ISSN : 0387-6012
タイ王国の水田におけるCH4フラックスの緩和渦集積(REA)法による測定
小宮 秀治郎登尾 浩助庄子 侑希矢崎 友嗣Toojinda Theerayut
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2014 年 128 巻 p. 23-31

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抄録

水田は,温室効果ガスである CH4 (メタン)に対する主要な人為的発生源のひとつである.近年,広域な測定範囲からの CH4 フラックスを測定するために微気象学的手法が開発されている.本研究では,微気象学的手法の一つである緩和渦集積(REA)法を用いて,タイ王国の水田において出穂開花期のCH4フラックスを測定した.また,チャンバーをイネのない場所に設置して,田面水からの CH4 フラックスを測定した.REA法とチャンバー法で測定した CH4 フラックスの観測値( 1.9 mg m-2 h-1から 43.6 mg m-2 h-1)は既往研究で報告された値と同程度であった.水稲群落と大気間のCH4交換量は日中に大きい傾向があり,水平風速と土壌温度に依存した日周変動を観測した.田面水からのCH4フラックスも同様に,土壌温度上昇に伴って大きくなった.REA法によって観測された CH4 フラックスは測定期間を通じてチャンバー法による値に比べて大きい傾向にあった.これはチャンバー法によるイネのない場所からのCH4フラックスは田面水経由であるのに対し,REA法による水田全体からの CH4 フラックスはイネ通気組織経由と田面水経由の両方であるためと考えられた.

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© 2014 土壌物理学会
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