土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
Print ISSN : 0387-6012
飯舘村除染後水田における生産性回復のための有機資源投入実証試験経過と飯舘村の現状
西脇 淳子浅木 直美小松﨑 将一溝口 勝登尾 浩助
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2017 年 135 巻 p. 33-39

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抄録
表土削り取り等の除染作業による農地の肥沃度低下が懸念される.そこで,除染後農地への稲わら,および堆肥施用による水稲生育への影響と放射性 Cs の移行を調べている.削り取りを実施した 2013 年に対照区で収量が低かったが,堆肥や稲わらの投入で収量は高くなった.2014 年は堆肥区で平年を大幅に上回る高収量であった.一般の方の田植え体験を開始した年であり,個々の移植数が異なったことが一要因と考えられた.また,2013,2014 年ともに収穫米の放射性 Cs 濃度は国の流通基準値を大幅に下回った.適切なカリウムと有機物投与により,本サイトでの水稲栽培は可能と考えられる.飯舘村では帰還困難区域を除き,2017 年 3 月末に避難指示が解除される.将来的な風評被害の払しょくのため,継続的なデータ収集が必要である.
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© 2017 土壌物理学会
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