土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
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森林における福島原発事故由来放射性 Cs の現状
小林 政広
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2017 年 135 巻 p. 41-46

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抄録

東京電力福島第一原発事故から 5 年以上が経過したが森林の放射能汚染の影響は続いている.森林に流入した放射性セシウム(Cs)は,高い割合で樹冠に捕捉され,その後,主に林内雨およびリターフォールとして林床に移動した.事故から 5 年経過した時点では,放射性 Cs の大部分が鉱質土壌の表層部に集積している.このような森林では,リター層を除去する除染の効果は,2011 年と比べて 2015 年では半分程度と見積もられた.土壌水中の放射性 Cs 濃度は林内雨に比べて 1 オーダー以上低く,深度の増加により急激に低下した.このことは植物が吸水する深度によって取り込まれる放射性 Cs 量が大きく変わることを意味する.森林からの放射性 Cs の流出量は,森林内での移動量より小さく,年間あたりでは沈着量の 1 パーセントに満たない.森林は流入した放射性 Cs を流出させにくい生態系と言えるが,このことは放射性 Cs がいつまでも森林に留まることも意味している.

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© 2017 土壌物理学会
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