土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
Print ISSN : 0387-6012
気温および大気中二酸化炭素濃度の上昇が津軽地域リンゴ園における土中CO2動態におよぼす影響
加藤 千尋 遠藤 明伊藤 大雄石田 祐宣
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2021 年 149 巻 p. 37-46

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抄録
本研究では気温および大気中CO2濃度がそれぞれ3 ℃および200 ppm上昇した条件のリンゴ群落を再現し,根圏における土壌水分,地温,土中CO2濃度変動の連続観測と地表面におけるCO2フラックスの測定を行った.外気温+3 ℃の条件によって,深さ15 cmの地温はリンゴの生育期間を通して3 ℃程度上昇した.深さ15 cmにおける土中CO2濃度および10月の地表面におけるCO2フラックスは高温高CO2区>高温区>対照区の順に高くなった.また,リンゴ樹周囲のCO2フラックスは樹から離れた場所と比較して高く,試験区間の差が大きかった.高温条件に加え,高CO2条件によって地上部および地下部のリンゴ樹や下草の現存量および乾物生産量が増し,植物根と微生物の両者による呼吸速度すなわち土中CO2生成速度が増加したことが要因と考えられる.
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© 2021 土壌物理学会
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