抄録
貫入式土壌硬度計の定量的な利用を進めるため,機種および作業者の相違によってもたらされる貫入抵抗値データの変動や分布についての傾向を解析した.圧力検出機構の相違で耕盤層上部や下部の境界領域で得られる貫入抵抗値が機種に依存していた.機種間のデータ比較には注意が必要であることが明らかになった.9名の作業者が31 a圃場全面で60点ずつ調査を行った.作業者の性別や年齢は以下の通りである;40代男性2名・女性2名,50代男性1名・女性2名,60代女性2名.力強い男性よりも非力な女性や高齢者がゆっくりとコーン先端を貫入させた方が作土層から耕盤層へ変化する境界面の貫入抵抗データを適正に収集できていると考えられた.貫入抵抗3000 kPa,深さ45 cmまで測定できれば,土壌硬度三次元分布図を作成するのに必要なデータを収集できると考えられた.