抄録
Arduinoを用いた計測事例として,安価なCMOS温湿度センサーを制御するシステムを構築し,畑地の蒸発散量(ET)算定への有効性を検討した.ライトユーザーを想定し,Arduinoをデータロガーとして利用する場合の基本的なシステムやその取り扱い方を紹介し,温湿度測定システムを構築するうえで最低限必要なカスタマイズについても記した.従来の高額$\cdot$高性能システムと比べて,構築したシステムはET算定精度が低く,それはセンサー性能に加え,ハードウェアのカスタマイズにも起因することを示した.しかし,器差の大きいセンサーの選別,ET算定法の異常値判定条件の適切な設定,データの平均,器差のBias補正のいずれもが従来と同水準のETを算定し得る有効策であることを論じた.こうした計測情報の蓄積は,低コストのオープンソースシステムの利活用を進めるうえで重要である.