土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
Print ISSN : 0387-6012
群落熱収支モデルを用いた蒸発散にともなう根圏土壌中の水分・熱移動の予測
坂井 勝
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2022 年 151 巻 p. 35-47

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抄録
畑地の土壌水分 · 熱移動の予測には,根の吸水特性や根圏土壌の不飽和透水係数 K の把握が必要である.本研究では蒸発散による乾燥過程にあるダイズ根圏土壌を対象に,群落熱収支モデルと HYDRUS-1Dを連結した土壌水分量 · 地温予測プログラムを用いて,K,補填吸水,吸水強度分布 β (z) の感度解析を行い,体積含水率と地温の観測値の再現性について評価した.K は地温変化に大きな影響を与え,植生が大きく繁茂している期間では,可能蒸発速度を維持する大きさの K が,観測値をよく再現した.補填吸水を考慮することで,根圏下層の吸水速度が増加し,体積含水率の観測値を再現した.一方で,吸水強度分布 β (z) の体積含水率や地温の計算値への影響は補填吸水や K に比べて低く,数値計算を行う上で均一な β (z) を与え完全補填吸水(ωc = 0)を考慮することが,有効な方法であると考えられた.
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© 2022 土壌物理学会
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