土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
Print ISSN : 0387-6012
野外における⼟壌理化学性の空間的不均⼀性に対する主要なアプローチの特徴と適用性
原口 暢朗 柏木 淳一斎藤 広隆
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2023 年 155 巻 p. 45-66

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抄録
本稿では,野外土壌の理化学性の空間的不均一性に対する主要なアプローチの特徴と適用性について論じた.均一系の水移動方程式を野外土壌に適用するためには,透水係数のスケールアップが必要である.Geostatisticsではkrigingを用いた透水係数のスケールアップはできないことを指摘した.代わる手法として,REV概念はサンプルスケールの増大によって透水係数をスケールアップする手法であるが,REVは労力をかけて実験的に求める必要があることを指摘した.確率論的水移動方程式は小スケールで得られた測定値から大スケールにおける透水係数を理論的に推定する手法であるが,透水係数の平均のサンプルスケール依存性は,この手法に疑問を投げかけることを指摘した.Time stabilityは時間的にも変動する土壌水分に対して,代表的な観測点の選定に有効であり,トレンド系にも適用できる特徴を指摘した.
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© 2023 土壌物理学会
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