土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
Print ISSN : 0387-6012
団粒構造が発達した土壌の水分特性曲線の回帰手法の改良
— dual-van Genuchten モデルの パラメータ決定の自動化に向けた取り組み—
関 勝寿 岩田 幸良柳井 洋介亀山 幸司
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ジャーナル オープンアクセス

2023 年 155 巻 p. 35-44

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抄録
土壌の水分特性曲線の近似ではvan Genuchten のVG モデルが広く使われているが,団粒構造が発達した黒ボク土のような土壌では,VG モデルを足し合わせるDurner(1994) のdual-VG モデルがより適している.本研究では,SWRC Fit のdual-VG モデルによる非線形回帰のアルゴリズムを改良した.すなわち,水分特性曲線を高水分領域と低水分領域に分割し,それぞれをVG モデルで近似して得たパラメータをdual-VG モデルの初期値として与えて近似するという手法である.日本全国のアスパラガス圃場を中心とした試験圃場の実測データによりこの手法の精度を検証した.開発された手法により,検証されたすべての土壌において大域解とほぼ等しい適合度の曲線が得られることが示された.また,修正AIC によるVG モデル,dual-VG モデル,dual-VG-CH モデル(dual-VG モデルにおいてα1=α2 と したモデル)の比較をしたところ,黒ボク土,低地土,褐色森林土において,dual-VG モデルが最も適している試料が多いことが示された.
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© 2023 土壌物理学会

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