抄録
福島県飯舘村が,定点で継続的に測定している空間線量率のデータから,除染前後の空間線量率の比を算定するとともに,その観測点で撮影した全方位写真から,除染前後の除染部の視野占有率の比を算出して,相互の関係を明らかにした.また,仮想斜面や水平面を対象にした空間線量の三次元輸送コードによる計算結果と視野占有率によるその推定結果を比較・検証した.周囲状況を簡素化した仮想ケースでは,視野占有率から推定される空間線量の低減率が,理論的に計算される低減率に近くなることを確認した.また,実際の現場では,全方位写真から推定した空間線量の低減率は,定点観測結果から求めた低減率に近い値となったところもあった.しかし,推定値が過大評価となった場所が多数あり,正確な推定には現場の汚染状況に関する追加の情報の必要性が示唆された.