土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
Print ISSN : 0387-6012
ヒートパイプによる冬の表層地温上昇の検討
伴田 千紘 百瀬 年彦
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2023 年 155 巻 p. 25-33

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抄録
農作物の生育促進のため,ヒートパイプ(以下,HP)を利用して下層の地中熱を表層へ輸送し,地温を上昇させることを検討した.HPを作製し,性能試験および実証試験を行った.性能試験では,作動液として水,アセトン,冷媒(代替フロン,R134a)を選定し,どの作動液が冬の地中温度条件下に適しているかを調べた.その結果,冷媒を内容積の3 %封入することで効果的な加温装置となることが示唆された.実証試験では,2 mのHPを埋設し,HPの有無による15 cm深の温度を比較した.その結果,HP無しの場合の15 cm 深は約2 ℃であるのに対し,HP有りの場合はその近傍が約8 ℃となった.HPによって冬の表層(15 cm深)を上昇させることができた.表層周辺に温熱源を作り出すことに成功したが,HPから数cm離れただけで加温効果が抑制されることが示唆された.
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© 2023 土壌物理学会
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