土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
Print ISSN : 0387-6012
土壌乾燥密度とダイズ生育が 温室効果ガス動態へ与える影響の実験的検討
西脇 淳子 北原 香織土井 俊弘岡山 毅
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2024 年 157 巻 p. 5-17

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抄録

本研究ではCO2,CH4,N2Oガスの土中での生成,および大気への放出に関して,室内ポット試験により3種類の土壌乾燥密度,およびダイズ栽培-非栽培の違いに着目して検討した.その結果,乾燥密度の違いによる間隙中の浸透水と蒸発の差で,乾燥密度0.67と0.84 Mg m-3 条件下では水分と窒素分のポット内分布に差が生じ,表層が酸化状態となることで,CO2 とN2Oの生成,CH4 の消失が確認された.深さが増すと生成・消失量は減少した.この影響は乾燥密度 0.67 Mg m-3 条件下で大きかったことから,間隙率が大きい場合には下方への水移動が起こりやすく表層が酸化状態となりやすかったために大きなCO2とN2Oの生成とCH4の消失が生じたと考えられた.また,浸透水量の違いは溶解ガスの移動とガス生成の基質となる窒素の移動にも影響し,土中でのガス濃度差が生じ,ガスフラックスおよび生成量に影響した.ダイズの影響は,土壌中でのN2OとCO2の生成,地表面でのCO2の大きな吸収に認められた.ダイズ生育により,温室効果ガス排出量を明らかに減らすことができたが,これはCO2の動態によるものであった.

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© 2024 土壌物理学会
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