抄録
不飽和帯の水分移動の定量的理解は,農業,環境問題,防災などの様々な分野において重要である.そのために現場土壌の水分移動を非破壊· 非侵襲な手法で計測し,現場土壌の不飽和水分移動特性の推定や選択流を可視化できる技術が求められている.地中レーダを使うことで,電磁波の伝播特性から非破壊かつ非侵襲で土の電気特性を三次元で得ることができるため,動的な土中水分移動の可視化への応用が期待できる.本稿では,地中レーダによる土中水分移動の非破壊可視化技術の現状を整理し,今後の課題を明らかにすることを目的とする.まず,地中レーダの計測原理と体積含水率の推定方法を解説する.次に,ボアホール地中レーダおよび地表型地中レーダによる土中水分移動のタイムラプス計測の時間解像度と空間解像度の問題点と対策を挙げる.そして,地中レーダデータから体積含水率分布を定量的に評価することが期待されている全波形逆解析の課題と展望を示す.