抄録
沖縄地域において浸透性沈砂池を活用した赤土流出軽減のため,上層に粗大な半円筒形ろ過材,下層に
石英砂を配した二層ろ過による石英砂単層ろ過と比較した持続時間(流出フラックスが初期の70 % に
低下した時間)の延長効果を定圧ろ過実験により検討した.流入土砂の最大粒径が70 μm 及び10 μm
の場合,単層では表面における土砂の捕捉により,石英砂の間隙が閉塞して流出フラックスは短時間で
低下した.他方,二層では流出フラックスは長時間維持され,この間に上層と下層表面に多量の土砂が
捕捉された.単層と比較した二層の持続時間は各々約11 ∼ 26 倍及び約4 ∼ 9 倍であった.流入土砂の
最大粒径が6 μm の場合,単層及び二層とも土砂は石英砂層内部に侵入し,単層と比較した二層の持続
時間は約1.6 倍であった.流入土砂の粒径が上層の間隙に比較して小さく,下層の間隙に比較して大き
い場合,上層に粗大なろ過材を配した二層ろ過は,持続時間の延長と土砂捕捉に有効であると考えられ
た.