土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
Print ISSN : 0387-6012
低コスト環境モニタリング技術
ペルチェ素子純放射計とCR発振型土壌水分センサー
Kosuke NOBORIO Jun-ichi TAZAWAYuki SHOJINaoto SHIMOOZONODaiki KOBAYASHI
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ジャーナル オープンアクセス

2025 年 159 巻 p. 3-12

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抄録
廉価センサーを用いた農地におけるIoT 技術は,温度,湿度,CO2 濃度などの環境条件をモニタリングし,圃場での物質およびエネルギー収支を評価するために広く利用されている.しかし,正味放射量センサーや土壌水分センサーは依然として比較的高価であり,IoT 技術を農地に普及させるためには廉価なセンサーが求められている.近年,論理IC やペルチェ素子(TEC)が非常に手頃な価格で容易に入手可能となっている.本研究では,低コストの正味放射量センサーおよび土壌水分センサーを製作した.まず,TEC を用いて正味放射量を測定し,線形回帰直線による較正を行った.気温が露点温度未満の場合のデータを除去した後,測定誤差はおよそ±50 W m−2 未満であった.次に,コンデンサ· 抵抗(CR)発振回路を用いて土壌水分量を測定した.土壌水分を可変容量コンデンサとして仮定すると,センサー棒を絶縁した後,CR 発振回路の出力周波数f は体積含水率θ に反比例する関係を示した.θ とf の間の線形回帰直線に基づく測定誤差は±0.05 m3 m−3 未満であり,温度依存性は10–40 ◦C の範囲でdθ /dT = 0.0006 m3m−3◦C−1 と小さかった.これらのセンサーを用いて得られたデータは,IoT での実用に十分な精度を有すると考えられる.
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© 2025 土壌物理学会

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