抄録
国内唯一の車で走れる砂浜として知られる千里浜では海岸侵食が加速しており,侵食要因を把握することが重要課題となっている.千里浜の侵食が進むなか,主要な土砂供給河川とされる手取川の上流域において,大規模な地すべり崩壊が起こり,高濃度の濁水が手取川を流下した.この濁水には千里浜に運ばれるはずの砂が含まれる.本研究では,千里浜の海岸砂の特徴を明らかにし,濁水に含まれる土砂のうち,千里浜と同じ特徴を持つ砂がどこに堆積するのかを調べた.その結果,千里浜の海岸砂は,表面に細かな凹凸を有する細砂(0.11–0.25 mm)であることが明らかとなり,これと同じ特徴を持つ砂は,手取川扇状地の用水路や水田および手取川の河口付近に堆積することが明らかとなった.この結果は,頭首工による取水とダムによる流量調整といった手取川の水利用に起因すると考えられ,手取川から千里浜への土砂供給を低下させる要因になると考えられた.