抄録
本研究では,人工模擬降雨の実験のもとに,傾斜度がシラス土におけるリル間侵食に及ぼす影響が検討された。リル間侵食の変動および表面流出の発生を評価するために,強度が62mm/hrである降雨を実験槽に30分間与え。斜面傾斜度は6°,9°,12°, 15°, 20°の5種類の実験を行った。結果として,6°の斜面の他は,いずれの斜面においても,流亡土,流出水ともに降雨実験の最初の10分間に急に増加し,実験経過時間の後半では,12°, 15°, 20°の傾斜度において,流出水が実験の経過にほぼ無関係に一様に発生するが,流亡土の方は傾斜度によって異なることが認められた。流亡土および流出水と傾斜度の関係を見ると,いずれも三次元の関係式が導かれ,変動の傾向が異なることが指摘された。ここで行った実験条件の場合では,流出水は15°付近でピークに達して,更に増加すると,減少することがみられた。しかし,流亡土が傾斜度の増大に伴って増加し,特に9°から15°までの間に顕著な増加の傾向があり,15°を越えると,流亡土の増加は減衰する傾向が現れた。