土壌の物理性
Online ISSN : 2435-2497
Print ISSN : 0387-6012
インドネシア•バリ島チャンディクニンの高標高傾斜地農業における 土地特性と土壌侵食
成岡 市アドニヤナ I.W.サンディマストウルメディナ S.M.
著者情報
ジャーナル フリー

2001 年 87 巻 p. 37-45

詳細
抄録

土壌侵食のような自然環境問題は,ある地域では畑地や高地農業システムに深刻な影響を与えている。本論は,火山灰土壌で覆われたインドネシア国バリ島のCandikuning村で実地調査を行い,この地域の傾斜地農業に関連した土壌物理的特性と土壌侵食程度を検討したものである。この地域は,標高1,200〜2,100mにあり,上位に森林,中位から下位にかけて畑地(野菜)が広がっており,緩傾斜〜急傾斜のカルデラ地形に立地している。この地域の主要土壌型はAndosolsとRegosolsであるにもかかわらず,案外肥沃レベルが高かった。森林地帯ではわずかに侵食が発生する程度であるが,斜度15%以上の乾燥•低木地帯では厳しい侵食が起こっていた。そのような状況のもとで適切な土壌•水保全対策を立案するにあたり,地域区分図,地形図,傾斜図,土地利用図,土壌侵食図などをまとめ上げ,画一的ではない,この地域の特性に応じた適切かつ維持可能な農業システムを確立する必要があることを論じた。

著者関連情報
© 2001 土壌物理学会
前の記事 次の記事
feedback
Top