土壌の物理性
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異なる雑草管理下のコーヒー園における USLE式の作物管理係数の評価 —インドネシア・南スマトラ・ランポンの 熱帯湿潤丘陵地における事例研究一
アファンディマニク ツマイア カタリナロサディ ブストミウトモ ムハジル千家 正照足立 忠司沖 陽子
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2003 年 93 巻 p. 21-33

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抄録

インドネシア• 南スマトラ• ランポンの熱帯湿潤丘陵地のコーヒー園において, U S L E 式の作物管理係数( C値)について評価した。試験区は,⑴地表面の雑草を完全除草したコーヒー園(完全除草区) ,⑵被覆植物として雑草種Paspalum conjugatumで地表面を被覆したコーヒー園( Paspulum区) ,⑶自然植生の雑草で地表面を被覆したコーヒー園(自然雑草区)である。雑草の管理は2週間に1回の頻度で行い,完全除草区では地表面の雑草を完全に除去し,Paspulum区と自然雑草区ではコーヒー樹周囲の直径lmの範囲を除草した。コーヒーの作物管理係数を次の2種類の方法で推定した。⑴類似した植生被覆条件を有する他の作物管理係数を用いる方法(Ct) と⑵既存のコーヒーの作物管理係数に基づいて算定した等価作物管理係数を用いる方法(Ce)である。Ct値を用いて土壌侵食量を計算すると実測値の9〜24倍となったのに対して, Ceを用いた土壌侵食量の予測値は実測値の10〜81倍となった。Ct値による土壌侵食量の予測値はPaspulum区で9.7 t/ha/year,自然雑草区で14.1 t/ha/yearであり,他のインドネシアの研究で予測されたコーヒー園からの土壌侵食量は数百t/ha/年の数値が多いのに対して, これらと比較すると非常に小さな値であり, いずれも許容土壌侵食量を下回る値を示した。さらに,本実験による実測値から求めたコーヒー園の作物管理係数は,完全除草区で0.045, Paspulum区で0.006,自然雑草区では0.004となり,いずれもインドネシアで通常用いられているコーヒーの作物管理係数の数値(0.2) よりも小さな数値を示した。実測で得られたコーヒーの作物係数(Cb) と雑草の影響を表す係数(Cs)の考え方を導入し,雑草による被覆条件下のコーヒー園における作物管理係数Ccの算定式(Cc=Cb • Cs)を示した。

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© 2003 土壌物理学会
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