2003 年 94 巻 p. 11-19
本論文は,日本の火山灰土壌(アンディソル)についての気体移動パラメータ予測モデルに関する最近の研究をまとめ,モデル適用の展望を示したものである。日本の3つの県の土性の異なった18の火山灰土壌すべてにおいて,土壌マトリックポテンシャルー1kPa〜一1.5 MPa域の水分特性曲線はCampbell(1974)モデルにより,よく記述することができた。同マトリックポテンシャル域での相対ガス拡散係数は,2つの新しい土壌タイプ依存モデル(Campbell-b依存モデル)により,よく予測できた。2つのモデルは,(l)BBC (Buckingham-Burdine-Campbell)モデルと,⑵マクロポロシティ依存モデ ル(一10kPaにおける気相率に依存するモデル)である。一方,広く使われているMillington and Quirk (1961)モデルでは,相対ガス拡散係数は18種類の火山灰土壌すべてで低く見積られた。中湿土壌(マトリックポテンシャルー1〜一100 kPa)の通気係数kaは,実測されたマトリックポテンシャルー10 kPaでのkaを用いることにより,単純なCampbell-b依存モデルにより,よく予測できた。結論として,Campbell-bに基づいたモデルは,火山灰土壌の間隙特性(土壌水分特性曲線,土壌構造指標)を記述し,気体移動パラメタを予測するのに非常に有効であることが明らかとなった。