抄録
筆者らは休耕田の中に設けた試験区で硝酸性窒素除去の試験を長期的に行っており,約 20 mg L-1の高濃度の硝酸性窒素を含む自然の湧水を 10 年以上流下させている(図1)。硝酸性窒素の除去機能は最初低下したが,現在でも持続している。今回はその試験区で流下過程での水質変化を 3 時間おきに測定した。水温は時刻変動をしたが,区間Iで最も低く,流下につれて上昇した(図2)。硝酸性窒素濃度は流下過程で直線的に低下し,時刻変動は少なかった(図4)。その平均硝酸性窒素除去速度Rは無植生区で 0.61 g m-2 d-1であった。圃場除去係数aを⑼式で求めたが無植生区の平均値は 0.038 m d-1であった。区間Iの除去係数は水温が低かったので他の区間よりも小さい値になった(図-9)。