1996 年 12 巻 1 号 p. 27-38
直腸癌肛門括約筋温存手術後の排便障害に対する看護の指針を得ることを目的に、術後4ケ月以上5年未満の58例を対象として、調査票を用いた面接法と病歴調査を行い、術後排便障害の実態を明らかにし、排便障害評価尺度を作成した。
術後排便障害の特徴は、少量頻回の排便、短時間内の集中排便、細い便柱、肛門周囲痛、残便感、就寝後の排便、soiling 、排便・排ガスをがまんできない、排ガスとの区別が困難、便意がありトイレに行くが排便がないなどであった。
特徴的な排便障害諸症状の関連を調べ、さらに因子分析を行い、2因子ごとに得点化した「排便障害評価尺度」は、三重大式評価法との高い併存妥当性を示し、有用な尺度となる可能性があると考える。