抄録
術後4ケ月以上5年未満の肛門括約筋温存術後患者58例を対象に、調査票を用いた面接と病歴調査により、排便障害に対するセルフケア行動を明らかにし、排便障害への影響を,身休的要因も含めて検討した。また、心理社会的要因とセルフケア行動との関係も調べた。
1. 排便障害の改善には、1)便量を増やし、排便を促進させるような食品の
摂取。2)排便を促進させるための肛門への刺激。3)生活様式の改善。
4)骨盤底筋群の強化運動。が好影響を与えていた。
2. 放射線治療例は排便障害が改善していなかった。
3. 排便障害の改善に好影響を与えていたセルフケア行動は、自尊心とコーピ
ング様式に関連していた。
4. 看護援助として、食事と排便促進の方法や生活様式の指導,さらに,排便
障害の回復についての見通しや経過を教えることが必要であることが裏づ
けられた。