抄録
臨床における適正選択基準の手がかりを得ることを目的として、各種皮膚保護剤の特性と機能を、pH、吸湿性、水耐性、緩衝作用から検討した。対象には、現在市販されている29製品(8社)を用いた。各皮膚保護剤のpHは、3.15から6.07に分布していたが、各分類(カラヤ系、CMC系、両者混合した混合系)ごとに大差はなかった。吸湿性では、カラヤ系の変化が最も大きく、水分吸収性に富んでいた。皮膚保護剤をシャーレ内の水に浸し、24時間後、48時間後の面積変化率から水耐性をみたところ、CMC系の変化が最も小さく、形状変化においては、製品ごとに特有の変化が認められた。水、胆汁、尿に対する緩衝作用では、カラヤ系とCMC系で検討した。胆汁に対して両群とも緩衝能力は弱い傾向を認め、皮膚保護剤本来のpH値になるのに24時間を要した。