抄録
腸管ストーマにおいて、ストーマ周囲皮膚障害の発生と皮膚角層機能の関連および皮膚角層機能に対する副腎皮質ホルモン製剤(ACH)の影響についてはよく判っていない。本研究では、回腸ストーマ症例をACH長期大量投与群と非投与群に分け、手術前、手術後4~5週目にストーマ周囲の皮膚の観察を行い、経皮膚水分蒸散量および皮膚コンダクタンスを測定した。その結果、経皮膚水分蒸散量、皮膚コンダクタンス共にACH投与に関係なく術後に上昇する傾向を認めたが、両群で術後に有意の経皮膚水分蒸散量の上昇を認めた。これらの結果は、面板貼付によりバリア機能が障害され、湿潤化しやすい事実を示していると考えられた。