抄録
粘膜皮膚移植は,ストーマ管理を困難にするまれな合併症である.今回われわれは,液体窒素による凍結治療を行い良好な結果を得た1例を経験したので報告する.症例は77歳 男性.再発直腸癌に対し2001年8月29日ハルトマン手術を行った.人工肛門はS状結腸の単孔式ストーマで,術後7ヶ月目に人工肛門周囲にわずかなびらんが発生し,14ヶ月目に発赤した隆起として認められた.生検で粘膜移植と診断し,液体窒素による凍結療法を施行したところ一回の治療で完治した.凍結療法は,粘膜移植に対する治療として比較的簡便に行えるので治療法の選択肢の1つとして有用と思われた.