抄録
直腸癌手術では,癌に対する根治性の追求と各種機能障害の回避と言う相反する問題に直面せざるを得ない。そこで,当教室における1970年から1988年までの直腸癌治癒手術症例(75才以下)を対象にアンケート調査を行い,術後機能とくに性機能障害について検討を加えた。その結果,術式の変遷に伴い,4段階の選択的自律神経温存手術の採用された1983年以降では,術後の機能温存の期待できる症例もみられるようになっている。しかし,部分的な神経温存例および非温存例では性機能の保持には限界があり,これらの症例に対しては,術後の補助療法として塩酸パパベリンの陰茎海綿体内注入を試み,若干の有効例もみられたため,併せて報告する。