抄録
尿路変向術(urinary diversion)を受けた患者にとって,ストーマケアは極めて肉体的かつ精神的な負担をもたらすものである。従来の主流であった非禁制の尿路変向術式のみならず,最近になって膀胱以外の臓器(回腸,結腸,直腸など)を用いた様々な代用膀胱が注目されてきた。われわれの施設では1984年から,回腸を使用して尿の逆流防止と失禁防止という,代用膀胱としての重要な機能を有した腸重積弁を作成するKock pouchをおこなってきており,現在までに尿道と吻合した自己(自然)排尿式代用膀胱を含め68症例を数え,この術式についておおよその評価をできるに至った。よって自己導尿式機能的代用膀胱であるKock pouchを中心に述べる。