抄録
直腸癌術後のオストメイトを対象に,癌か否かの認識が心理面に及ぼす影響について調査を行った。方法は,石川県にあるオストメイト会の中でコロストミー保有者に対して,心理スケールと質問紙を郵送し,不安度や自尊感情の得点を癌の認識の有無別に比較した。その結果,健康人に比べてコロストミー保有者は有意に自尊感情が低く,不安度が高かった。また癌だと認識している場合は癌だと認識していない場合に比べて有意に特性・状況不安が強かった。また癌であると認識している対象では,術後年数の経過とともに, 自尊感情が有意に高くなっていった。以上より,コロストミー保有者に癌を告知した場合は,術後しばらくは強い不安を持ち続けるが,時間の経過とともに自尊感情が高まりQuality of Lifeが向上されていくと考えられ,術後早期からのサポートシステムに向けての援助が必要であることが示唆された。