日本ストーマリハビリテーション学会誌
Online ISSN : 2436-8806
Print ISSN : 0916-6440
8 巻, 2 号
8巻2号(通巻16号)
選択された号の論文の15件中1~15を表示しています
表紙・目次
原著
  • 後藤 幸美, 水谷 裕美, 奥谷 洋美, 峯垣 明美, 梅津 キミ, 石川 羊男
    1992 年8 巻2 号 p. 1-10
    発行日: 1992年
    公開日: 2024/06/28
    ジャーナル フリー
     脊髄損傷症例の晩期合併症としての慢性便秘症に関連した消化器愁訴,排便処理状況について342例に全国アンケート調査を行い,201例(57.8%)に回答を得た。
     多くの症例が漏便,腹部膨満,腹痛,食欲不振を訴え,摘便,薬物療法,浣腸(グリセリン浣腸薬もしくは微温湯による高圧浣腸)などの排便調整を行っていたが,60分を超えるものは24%におよび,240分を要する例も見られた。
     その点,ストーマ造設術の適応とした自験例3症例では,消化器愁訴の消失,薬物による排便調整の不要,排便時間の40-60分への短縮,浣腸による計画的排便,介助者の不要と自己管理の確立,会陰部の清潔維持などが得られた。その結果,社会生活や行動範囲の拡大と活性化,精神的活動の高揚など,QOL向上に大きく寄与すると評価できた。
  • 秋山 守文, 水島 康博, 唐沢 学洋, 佐々木 聖子, 菅原 百合子
    1992 年8 巻2 号 p. 11-14
    発行日: 1992年
    公開日: 2024/06/28
    ジャーナル フリー
  • 吉田 美智子, 立花 美雪, 河上 裕子, 小松 律子, 長瀬 道子, 背戸 草代, 津田 裕子, 嶋 裕一, 藤田 秀春, 西出 薫
    1992 年8 巻2 号 p. 15-20
    発行日: 1992年
    公開日: 2024/06/28
    ジャーナル フリー
     近年,ドレッシング材としての皮膚保護剤が注目されている。われわれの病棟では,一般手術創に対し,フイルムドレッシング材とガーゼによる被覆を行ってきたが,粘着成分や剝離時の刺激から,皮膚障害が生じていた。そこで,カラヤ系皮膚保護剤バイオヘッシブK-1をドレッシング材として,主に開腹手術を受けた患者30名に貼付し,皮膚障害,装着感,操作性,スタンプ法による細菌培養の点から評価した。その結果,皮膚障害を認めたのは3%のみで,掻痒感,違和感は10%以下にとどまった。また,スタンプ培養法では全例に細菌の検出もなく,毎日の創処置が不要で観察が容易となった。
     以上より,一般手術創のドレッシング材としてバイオヘッシブK-1は有用と考えられた。
  • 真田 弘美, 紺家 千津子, 平林 可寿子, 窪田 玉樹, 山上 和美, 山口 明夫
    1992 年8 巻2 号 p. 21-28
    発行日: 1992年
    公開日: 2024/06/28
    ジャーナル フリー
     直腸癌術後のオストメイトを対象に,癌か否かの認識が心理面に及ぼす影響について調査を行った。方法は,石川県にあるオストメイト会の中でコロストミー保有者に対して,心理スケールと質問紙を郵送し,不安度や自尊感情の得点を癌の認識の有無別に比較した。その結果,健康人に比べてコロストミー保有者は有意に自尊感情が低く,不安度が高かった。また癌だと認識している場合は癌だと認識していない場合に比べて有意に特性・状況不安が強かった。また癌であると認識している対象では,術後年数の経過とともに, 自尊感情が有意に高くなっていった。以上より,コロストミー保有者に癌を告知した場合は,術後しばらくは強い不安を持ち続けるが,時間の経過とともに自尊感情が高まりQuality of Lifeが向上されていくと考えられ,術後早期からのサポートシステムに向けての援助が必要であることが示唆された。
  • 高橋 真澄, 松本 敦子, 渋谷 幸枝, 梅田 なおみ, 嗚海 順子, 大木 繁男
    1992 年8 巻2 号 p. 29-33
    発行日: 1992年
    公開日: 2024/06/28
    ジャーナル フリー
     健常腹部皮膚と,ストーマ周囲皮膚におけるpH緩衝作用について以下のごとく検討した。1. 健常腹部皮膚に皮膚保護剤4種を貼布し48時間後のpHを測定した 2. 洗浄剤2種を用い経時的にpHの変化を測定した 3. オストメイトのストーマ周囲のpHを測定した。その結果4種の皮膚保護剤貼用後は平均4.8~5.0であり,生理的中性が維持されていた。また洗浄剤使用直後はpHはややアルカリ性に傾いたか,60分後にはほぼ前値に回復した。ストーマ周囲はアルカリ性に傾いており皮膚障害を起こしやすい状態にあるためpHの緩衝作用をもつ皮膚保護剤が,皮膚障害を予防するために有用であると考えられた。
  • 相澤 裕子, 鈴木 博美, 木原 俊子, 大木 繁男, 佐藤 正美
    1992 年8 巻2 号 p. 35-40
    発行日: 1992年
    公開日: 2024/06/28
    ジャーナル フリー
     過去10年間に行われた直腸前方手術277例のうち,7例2.5%は術後数ヶ月以上経過しても,頻回な排便や肛門周囲のビラン等のため,社会生活が著しく障害される状態となった。そこでそれらに対して経肛門的洗腸法を指導したところ,約1時間以内に排便が終了し排便回数は平均12.5回から3.6回と減少し肛門周囲の発赤,ビラン,疼痛,便失禁,残便感,更に不眠は全て改善された。
     以上により,直腸前方切除術後排便障害のある患者に個別的継続的に洗腸指導することで,排便コントロールができ,また社会生活の質の向上が可能となった。
  • 高橋 弘美, 鈴木 俊子, 高瀬 チエ, 伊藤 いさを, 山田 富子, 鈴木 頼子, 富沢 弥生, 當間 ちやこ, 乾 紀子, 舟山 裕士, ...
    1992 年8 巻2 号 p. 41-45
    発行日: 1992年
    公開日: 2024/06/28
    ジャーナル フリー
     種々の術後合併症のため緊急手術で一時的回腸瘻造設を施行した患者のストーマ管理の問題点について検討した。
     マーキングとinformed consentを行った症例ではストーマ位置の問題やトラブルが少なく, 自立も速やかであった。スキントラブルの背景要因にはストーマの変形と創部からの多量な浸出液が考えられた。その管理に対して術後早期にはサージドレーンオープントップ®が有効であった。
     以上のように回腸瘻造設患者の術前,術後の管理には可能な限り術前にinformed consentとストーマサイトマーキングを行うことが望ましく,症例の状態にあわせた装具の工夫が必要であると考えられた。
  • 山口 典子, 平川 道子, 久富 瑞穂, 磯本 浩晴
    1992 年8 巻2 号 p. 47-50
    発行日: 1992年
    公開日: 2024/06/28
    ジャーナル フリー
     癌合併潰瘍性大腸炎術後,MRSA腸炎により,イレオストーマ周囲に潰瘍,膿瘍,瘻孔を形成した症例にポビドンヨードでの洗浄,抗生剤(塩酸バンコマイシン以下VCMと略す)の注入,人工皮膚剤(デブリサン)の散布,軟膏付ガーゼの挿入,低粘着性パウチの使用を試みた。これらの処置は潰瘍,膿瘍,瘻孔に対し有効であった。
  • 岡田 祐時, 崎山 稔, 高橋 範子, 鈴鹿 多恵子, 安部 隆夫, 米村 正国, 高橋 吾郎, 渡辺 善四郎, 佐藤 輝夫, 中込 義昌, ...
    1992 年8 巻2 号 p. 51-60
    発行日: 1992年
    公開日: 2024/06/28
    ジャーナル フリー
     英米のオストミー団体によるオストミービジター(Ostomy Visitor-OV)活動の実態を調査・紹介し、併せて国内一部医療関係者の意識調査結果を表示して解析、わが国にもビジター活動の本格的導入の下地があることを示した。その上で(株)日本オストミー協会が組織的に本活動を導入するに当たっての基本的条件として、オストミービジターがその条件付き役割と行動原則を守ることなど4条件を示し、システムの骨組みを図表により解説した。特に実施主体の範囲、責任機関(訪問委員会)の設立等を示した。ただし、このシステムによる活動開始は、十分なOVの訓練、医療関係者の理解と指導の上に逐次行うべきとした。
  • 渡辺 成, 荒川 健二郎
    1992 年8 巻2 号 p. 61-67
    発行日: 1992年
    公開日: 2024/06/28
    ジャーナル フリー
     アンケート調査並びに諸資料によりわが国のストーマ外来175ヶ所について検討した。1)3大都市圏を中心とした関東,中部,近畿地方にストーマ外来が多かった。2)ストーマ外来を開設している施設としては公的な規模の大きな病院が最も多かった。3)ストーマ外来の開催頻度は1ヵ月に1~4回がほとんどであった。4)ストーマ外来での診療は医師と看護婦の組合せで行われる施設が多かった。5)半数以上のストーマ外来では消化器と尿路のストーマを診療し,成人および小児のオストメイトも診療するとしている。6)多くのストーマ外来では他施設で手術を受けたオストメイトの診療も行うとしている。
地方会抄録(地域研究会記録)
研究会報告
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