抄録
過去10年間に行われた直腸前方手術277例のうち,7例2.5%は術後数ヶ月以上経過しても,頻回な排便や肛門周囲のビラン等のため,社会生活が著しく障害される状態となった。そこでそれらに対して経肛門的洗腸法を指導したところ,約1時間以内に排便が終了し排便回数は平均12.5回から3.6回と減少し肛門周囲の発赤,ビラン,疼痛,便失禁,残便感,更に不眠は全て改善された。
以上により,直腸前方切除術後排便障害のある患者に個別的継続的に洗腸指導することで,排便コントロールができ,また社会生活の質の向上が可能となった。